本当は、バネ交換と同時にショックも交換するべきですが、これは予算の関係で見送りです。 少し乗り慣れてくると、BEATは思いの外ロールによる姿勢変化が大きいことが分かりました。
リアにスタビがないことも一因ですが、エンジンのマウント位置が車の印象よりは結構高いところにあるのも寄与しているようです。
BEATに限っては、おとなしく、又は少し元気にコーナリングを行おうとすると大アンダーが出てしまい、ひとつも頭が内を向いてくれません、これを解消するためには、フロントのグリップ強化というのが常套手段ですが、アンダーパワーな車には必ずしも最適な方法とはいえません。
むしろ、コーナーアプローチ時に素早く加重を外に振ってやることによる慣性ドリフトを起こしやすいセッティングが有効ではないかと考えています。
無論グリップ走行ではないので、それなりのリスクはありますから、道路状況に応じた運転をするというのが大前提で、血気盛んな若者には真似の出来ない芸当(HOTに攻めていても冷静な状況判断)ではなかろうかと思いますが…
早い話、姿勢変化を柔らかいサスで吸収せず、よりピーキーな挙動にすることによって、アンダーパワーを補おうとする目論見です。
交換後、実際には思ったほどの堅さにならず、小さくはなったものの相変わらず結構なロールでライントレース能力は高くはなりませんでした。ノーマルに比較するとバネレートは約50%の強化なのですが、ショックを変更していないので、路面の荒さばかりを拾う結果となっています。やはり、ショック交換の必要性があります。この感じだとバネレートも150%位引き上げても良さそうな感じがしますので、再挑戦する必要があるのではないかと感じています。
■交換方法(フロント)
1.ボンネットを開けると、サスペンションの取り付け部が見えますので、中心のショックのシャフトを先ず緩めます、ここでは緩める程度にしておき外しません。
2.上記のボルトを中心とした対角上に2本のボルトがあり、これでサスペンションがボディに固定されていますので、これも緩めます、同様に外しません。
3.通常にジャッキアップをして、タイヤを外します。
4.ブレーキホースがサスペンションに固定されていますので、このボルトを外します。
5.作業性を良くするために、キャリパ部をそっくり外します。 このとき、ブレーキホースに無理な力がかからないよう慎重に作業します。キャリパ部が外れると、ブレーキホースでぶら下がる状態になりますので、そろっとぶら下げておきます。
キャリパ部を組み付けるまで、間違ってもブレーキを踏んではいけません、キャリパ内のピストンが出てきてしまったら、そう簡単に押し戻すことは出来ないので、エア抜きと同じ作業が増えてしまいます。
6.サスペンション下部とブレーキディスクの付いている車輪部が1本のボルトで締められていますので、これを外します。
7.普通は、ここでサスコンを使って、バネを締め上げていくのですが、私が非力なことと、軽自動車の狭いホイルハウスでは非常に作業性が悪く、サスコンのものによっては、シャフトが長くて充分に縮められなかったりするものですから、もう1本ジャッキを持ってきて、サスペンションアームの最も外側の部分をジャッキアップします。ジャッキアップポイントは慎重に探してください。滑って外れそうなところは避けて、慎重に上げていきます。 これに連れて、当たり前ですがバネも縮んできます、ボディ側に当てたジャッキが緩くなったらそこでストップです。 このときボディ下にコンクリートブロックなどを入れて万一の事故に備えることも忘れずに、体や足などの一部がボディ下に入らないように常に腰を引いて作業することも忘れずに。 こんなことして挟まっても誰も責任取ってくれませんから。無論私も。
8.充分に縮んでいるバネへ、350mm程度の結束バンドで縮んだバネを固定します。結束バンドはちゃんとメーカー名の入っている新鮮なものを使ってください。結束バンドの有名ブランドはCONVEXと言い、芝軽祖材(株)と言う会社の製品です。他にもあるでしょうが、CONVEXがあまりに有名なので、他を知りません。
引っ張り強度は、同社のCV350N(350mm)で55kg、 CV450N(450mm)で80kgです。▲1
BEATの車重と重量配分から計算すると、フロントバネ1本で約165kgを支えていることになりますので、応分の本数のバンドで固定します。 実際には3本必要な計算ですが、破断限界はもっと上の方にあるようなので、厳密である必要はないと思いますが、新鮮でないバンドの場合(「開封後はお早めにお使いください。」と書いてある)、極端に強度が落ちますので、自殺志願の方以外は新品を買いましょう。ただし、100本入りのCV350などを買うと、サスコンよりも高く付くので、あしからず。
固定するときに、親の敵とばかりに締め付ける必要はありません、むしろ複数本のバンドを均一に締めるように心がけることが大切です。 また、締め付けに夢中になって、車を揺するようなことのないよう充分注意します。
9.サスの下から持ち上げているジャッキをゆっくり降ろしていきます。このとき、バンドに不均一に力がかからないように注意します。
また、ボディ側のジャッキがちゃんと機能していることも確認します。 ジャッキを降ろすに連れて、またサスは伸びてきますが、これはバネの力ではなくバネ下重量と言われる部分で引っ張られているからです。
10.ジャッキが完全に外れたら、今度は、40cm程度の鋼材、もしくはハンマーの柄などで代用も可能ですが、これをサスペンションアームの間からバネの下部のツバにあてがい、ジャッキでゆるゆると上げていきます。 これでサスそのものを上げていっているので、時々車輪側をたたいてやると、サスの下部が外れてきます。
この部分は約50mm程度入っていますので、ゆっくり上げては叩き、叩いてはゆるゆると上げると言うことを何度か繰り返します。決して焦らずに。
11.ついには、ゴトンと外れますので、上部のボディ側のボルトを外して、サス全体を抜き取ります。
12.ショックのシャフトのボルトを外すと、何点かの部品が外れますので、外した順番に並べておきます。
13.バネを抜き取ります。バネ単体になった状態で、結束バンドをニッパなどで切ります。
このとき、かなり激しくバンドが飛び、バネも激しい勢いで伸びますので、周囲や自分の顔、手足などに充分注意して切ります。 切らないまま放置することは非常に危険ですから、なるべく早いうちに切っておきましょう。
14.組み込むバネを結束バンドで締め付けます。 バネ単体なので、両手両足を使って渾身の力で均一に締めていきます。
あらかじめ、どの程度縮める必要があるのかを計っておくと、無駄な労力を少しでも減らせます。
15.新しいバネをサスに入れて、分解したときの手順を逆に辿って作業を進めると、交換作業は終わりです。
サスペンションは走行中は常に振動している部分なので、各部のボルト等の締め忘れがないかしっかりチェックし、ついでに締め付けの確認もするべきです。 走行中にサスが外れるなどと言う恥ずかしいことにならないよう、指差呼称を励行しましょう。
基本的に、このような交換方法では、調整が必要になる部分は一切外していませんので、アライメントが狂うことは考えにくいのですが、交換したバネで車高が変化するような場合は、キャンバ角が若干変化します。 無理にゴリゴリ作業をした場合にはトーインが狂うこともあるようですので、ディーラーなどで再調整をして貰うと、より気分が良くなります。
■交換方法(リア)
手順はほとんどフロントと変わりません。
・ブレーキキャリパを外さなくても作業が出来る、
・リアサスの荷重は約226kg/本であるので、結束バンドの本数を再考する、
などが注意点です。