日本の原発事故と韓国

■2011年3月に発生した東日本大震災で発生した福島第一原発の事故で大量の放射性物質が大気に放出され、その行方と影響に世界中が注目しているようです。

 隣国の韓国では、気象庁の予報士が天気図を示しながら、福島から風が時計回りに日本を一周して韓国に放射性物質を運ぶとまことしやかに報道していたりしました。 (後日、この予報は誤りであることを認めたが・・・)

 韓国や中国など、日本の西隣の国々は風に乗って放射性物質が運ばれる危険性が北半球で最も低い地域のひとつと言えます。

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 福島は北緯37.4度付近にあり、上図で示されているフェレル循環域にあります。 フェレル循環域は北緯60度〜30度あたりの範囲で地表付近では南から北へ、上空では北から南へ大きく循環しているのですがコリオリの力によって東へ東へと流されていきます。

 で、太陽が東から昇り西へ沈む以上、風は西から東へ向いて吹くので東アジアへ福島発の風が届くのは北半球を一周してやっと届く訳で、しかも多くは北へそれるため、カナダ、グリーンランド、北欧、ロシアあたりが流れの中心となるようです。

 特にこの季節では、毎年中央アジア内陸部からの黄砂で韓国も日本も悩まされる時期でもあり、「風は西から吹いている」ことを如実に物語っているといえるのではないでしょうか?

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 運の良いことに、福島あたりの海では暖流と寒流がちょうどぶつかりあう位置にあり、海岸付近では海流が滞っておりあまり拡散はしないようです。 更に海岸から遠い海では海流が東へ向かっているので真っ先に影響を受けるのはハワイあたりでしょうか。

 日本政府のアナウンスや、これを受けて報道する日本のメディアははっきりものを言わないので状況を隠蔽しているような感触を各方面に与えているようですが、チェルノブイリ級の1/10程度まで放射性物質を放射しているのは事実で、迅速な対応が待たれています。

 福島原発のコア部分はアメリカの技術で建造されており、震度7の地震にも耐えるよう設計されているようです。 このため、原子炉については今回の大震災でも無傷だったのですが、周辺設備の設計基準は震度5だそうです。 このアンバランスが今回の放射性物質流出事故を大きくしたのではないかというのは、事情に詳しい筋の情報です。
 また、津波に関して基準が甘かった(想定5〜7m)ため1〜4号機では建設時に岩盤に近づくためという理由で標高30m以上あった丘陵を20mも削っているのです。 このためすべての設備が4m以上の波を被って全電源喪失という大事態に陥っています。

 実は電源喪失事故は2010年6月に2号機で発生しており、冷却機能を失うことの重大さは体験していたのですが、危機感を感じていなかったのか、対策が間に合わなかったのか、今回の事故に教訓が反映されることはありませんでした。
 まぁ、保安院のお役人さんは挙って東電に天下りしてらっしゃる様ですから、強くは言えないという部分も大いにあったのではないかと思います。
 そう考えると、「未曾有の大震災」が引き金には違いないのですが、お役人の天下りが恒常化している日本の政治機構が被害を増幅したと言っても過言ではないのでは?

 日本政府のアナウンスも適当なモンですが、意志を明確に表明できないのが日本人の美徳(?)なんで、古くから言われているこの特徴が他の国の人には理解して貰えないようです。 日本人も、そこんとこをちゃんと自分で理解して意志をちゃんと伝える努力が必要なのですが、特にご年配で不条理に頭を下げたことがないような人には相手にものを伝えようとする努力が足ないようです。