★WindowsServer2003R2 Enterprise Edition 180days Trial Version 試用記 (2006/05/13)

 マイクロソフトは、WindowsServer2003R2の発売に伴い、同バージョンのトライアル版を無償で配布しています。 我が家のサーバはWindows2000Serverで、さすがに最新のハードウェアに対してリソースを十分に活用できないような状況になってきたと思われるので、5年ぶりに更新しようかと考え、Server2003のトライアル版を入手し評価を行うことにしました。
  ここに記録するのは、我が家の環境に適応させる部分に限っての内容であって、WEBサーバ、FTPサーバ、SMTPサーバに関しては、別のアプリケーションで別のOSで稼働していますので、Server2003ではこれらの機能を利用していません。 主にファイルサーバの機能を中心に評価をしています。

概要
  概ね、Server2003全般で2000Serverの機能にWindowsXPのUIを融合したような感触になっています。 ただ、すべての機能に関して2000ServerやWindowsXPではデフォルトが、許可/有効となっていたものに関して、デフォルトが無効/不許可となっており、必要な機能を手動で有効/許可として使用する、と言うことになっています。 これは、ビギナーユーザにとっては面倒なことかもしれませんが、ビギナーが故に知らないところでサービスが実行されているという問題が少なくなり、これによるセキュリティ問題がかなり軽減されることになります。 ただ、ダイアルアップやVPNによるリモート接続に関する「テレフォニープロバイダ」のサービスはデフォルトで開始されています。 しかし有効なアカウントは設定されていないので、「Guest」などのアカウントを有効にしてリモート接続を可能にしてやる必要はあります。

コントロールパネル
 WindowsServer2003のコントロールパネル
  「音声認識」とか「スキャナとカメラ」、「ポータブルメディアデバイス」、「ゲームコントローラ」など、サーバ機には必要なのか疑問になりますが、UIのベースがWindowsXPであることが良くわかります。

Windows2000serverの例

 こちらは、Windows2000serverのコントロールパネルですが、さすがにデザインの古さは感じます。

管理ツール
WindowsServer2003の管理ツールでは、「サーバの構成ウィザード」、「サーバの役割管理」を利用することにより、目的の機能を容易に導入/管理することが可能となっています。 ターミナル接続に関するメニューも「ターミナルサーバライセンス」、「ターミナルサービスマネージャ」、「ターミナルサービス構成」のメニューでより厳密に管理できるようになっており、セキュリティ強化の姿勢が伺えます。
また、最近流行りのクラスタ構成に関するメニューもあり、小規模ネットワークではあまり利用しませんが、VPNなどと併用することにより本支店間でのクラスタを実現することも可能となるでしょう。 
「分散ファイルシステム」を使用することにより、各支店のデータを本店で集中管理するのではなく、実体は各支店に置いておき本店サーバで参照を管理することにより、あたかも本店サーバにデータがあるかのように見せることができるので、各支店のデータに別の支店からでも容易にアクセスすることも可能となります。
 
Windows2000serverの管理ツール
パフォーマンス
WindowsXPで起動時のパフォーマンスが改善されたかのように見えたのですが、実はすべてのサービスを起動する前にUIのみを先行して使用可能にしたことにより、見かけ上の起動待ち時間を短くしただけの小手先の技だったのです。 一方WindowsServer2003では、実際にリソースの使い方を見直したのか、Pentium-D 3GHzで動かしているWindows2000Serverよりも、Pentium-III 800MHzで動かしているWindowsServer2003の方が軽快に感じます。
起動しているサービスの数やスレッドの数は双方ともさほど違いませんが、明らかに軽快に感じるのはバージョンアップを繰り返すたびに重くなる最近の傾向からすると、マイクロソフトの快挙といえます。 これだけでも導入する価値があると思います。
ただ、「Windows Server 2003 R2 Enterprise x64 Edition 25CAL付 日本語版」で45万円程度、「Windows Server 2003 R2 Standard x64 Edition 10CAL付 日本語版」でも14万円程度(何れもAmazon.co.jp調べ)ですから、個人レベルではかなり厳しい金額かと思います。(っつうか、個人では買わんだろう普通、という声も聞かれそうですが、我が家的には必要なアイテムです。)
SOHOなどでは、10CALでは不足でしょうから、25CALということになり、資産計上とか、減価償却とか経理上面倒なことになり、これもマイナス点です。
また、64ビット版が本当に必要なのか?という問題もあります。2006年5月現在でも、64ビット版アプリはそんなに多くなく、特にサーバ機上で動作させるものということになると更に少なくなります。
データアクセスは単純に2倍になりますので、Gbネットワークなどではパフォーマンスの向上に寄与するとは思われますが、HDDのデータ転送がボトルネックになると思われ、さほど恩恵を感じることは少ないのではないかと考えます。 逆に、メモリは2倍消費するわけで、単純に“A”という1文字を操作するにも64ビットの空間を使用するわけで(異論が飛び出しそうですが効率の良い処理を優先に考えるとレジスタのビット長を基準に最小アクセス単位を決めることになりますので。)、FAT32でアスキー1文字を保存するのに64KB使われてしまうような、不条理感があります。